改めて頚動脈エコー検査の重要性


当院では、脳のMRI検査を受けられた方で頚動脈エコー検査を希望されたり、高血圧症があり高脂血症や糖尿病がある方を中心に頸動脈エコー検査を実施しています。その結果、当院で頸動脈エコー検査を受けれた方の半数以上が、何らかの異常を認めています。中には狭窄率が70~90%以上で直ぐに外科的治療(血管内)が必要な方も数名おられました。参考までに、日本人の中で高血圧症の方は3000万人、糖尿病の方は約1000万人、高脂血症の方は最近では中高年齢層の70%以上の方が罹患している様です。これが現在の日本人の健康状態の一端ではないでしょうか。

たかが頭痛、されど頭痛です


今日午前中に10歳代半ばの男の子が頭痛を訴えてお母さんと来院されました。約3週間弱続く痛みで、吐き気も少しありました。頭部CTで慢性血種を認め手術の必要性のある疾患でした。頭痛が継続する場合はぜひ専門医の診断を受けて下さい。

疾患と適切な治療期間について


診療機関(病院等)へ受診して、診断名が決まり治療が開始になります。急性疾患では、手術が必要か飲み薬で治るか判断されます。しかし、下記の様な慢性疾患になるといつまで通院すれば治るか気になるところです。
かつて昭和から平成になる時期、慢性疾患に対して患者さんに説明なしに、まんぜんと治療が継続されていた診療科や疾患もあった事は事実です。その多くの場合患者さん自身が一応症状が改善し、更に治療を継続する事に嫌気がさして中断する事が殆どでした。当時は病気の本態や、治療に対する科学的な根拠(証拠に基づいた治療)が不確かなものが多かったのも事実です。
しかし最近は、科学的根拠に基づきはっきりとした治療方針で治療にあたる事が出来る様になりました。以下当院でどの様に病気を考え、治療方針を立てているかを説明します。
①無症候性脳梗塞(症状のないもの):梗塞巣の大きさや脳の主要な血管の細さ、生活習慣病の有無や家族歴により色々なバリエーションが考えれます。基本的には梗塞巣の長径が10mm以下で主要血管が正常な場合は、MRIを定期的に撮影すれば治療の必要はありません。梗塞巣が10mm以上の場合、加えて脳の主要血管が細ければ、なおのこと、将来手足の麻痺、言語障害や認知症になる可能性がありますので、生涯にわたり予防薬の治療が必要です。予防薬を飲んでいれば1/5~1/10程度危険性が少なくなります。
②動脈瘤破裂によるくも膜下出血術後(開頭術や血管内手術術後):基本的には治療の必要ありません。くも膜下出血は、最初の手術が後遺症を左右します。術後は危険因子の高血圧症の治療と禁煙が必要です。動脈瘤の再発(0.3%以下)の確認と脳梗塞等ほかの脳卒中の罹患率が一般の方より高い為、年に一度の頭部MRIの検査が必要です。
③脳内出血後遺症:出血の原因のほとんどが高血圧症です。血圧の管理が一番大切です。この為、生涯にわたり高血圧症の治療が必要です。ただ前のコラムでも書きましたが、高血圧症は場合により食事や運動療法、減量で改善でき、薬を飲む必要がなくなります。
④癲癇:癲癇の治療は、抗痙攣剤を飲みながら発作が消失し脳波が正常化し、3年間経過後に抗痙攣剤を1年間かけて減量~休薬し、脳波が正常化していれば薬を中止する事が出来ます。

これから益々知ることが必要な事


①健康食品-サプリメント(本当に効き目はあるでしょうか?):判定×健康食品の定義ははっきりしませんが、国(厚生労働省)が、健康維持や病気回復に効果がある薬品として認めてないものと考えます。この中には様々なレベル(品質)のものが混じっていると考えられます。作っている企業も一流から三流の製品があると思われます。ここではっきり言いたい事は、健康食品は健康維持や病気回復の為に科学的に証明されていないものと言えます。仮に本当によい物なら厚生労働省も薬品として認めるはずです。また医師も病院で使用できます。したがって健康食品はお勧めできません。また、万が一健康食品で副作用が出た場合一流企業でないと補償がもらえない可能性もあります。本当に注意して下さい。
②ジェネリックは今までの薬と同じですか?判定×薬は化学製品です。その為、製品を製造する段階で化学反応します。ジェネリックは既存の薬と同じ成分ですが、この化学反応の過程が全く違っている為(既存製薬会社の極秘事項)同じ製品、言い換えれば薬効が同じではありません。事実、私も患者さんの御希望で、抗痙攣剤をジョネリックに変更して癲癇発作が再発した苦い経験があります。厚生労働省もその事を充分知りながら、国民の医療費削減の為販売促進運動をしています。テレビコマーシャルで、一流のタレントを使用して二流の薬が販売されています。タレントも医療に無知で可愛そうです。また上記の様にジェネリックを製造している会社も一流から三流に分かれます。皆さんが食品を買われる際に、国産か中国産かを注意されるのと同じ様にジェネリックの会社の知識も持たれる必要があります。特に、降圧剤や抗痙攣剤など大げさではなく命に関わる薬には注意を要します。医師が何故安価な薬を使用しないかの理由はここにあります。


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