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新しい片頭痛治療薬


近年、色々な薬効の片頭痛治療薬が開発されています。特にCGRP関連薬(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)にはその臨床効果の有用性より、注目が集まっています。
片頭痛の治療法の変遷は、消炎鎮痛薬から、トリプタン製剤服用し、カルシウム拮抗薬を予防薬として併用しながら治療する時代、そしてトリプタン製剤を服用しながら、片頭痛対して新たなCGRP製剤を1ヶ月から3ヶ月に一度投与(注射薬)する時代に変わり始めています。
従来の薬は、頭痛発症後の炎症や血管拡張の改善薬で、いわば症状が発現後に対処するものでした。新しい薬剤は、頭痛発作に関係なく、定期的に1〜3ヶ月に一度注射投与して頭痛をコントロールします。
以前からCGRPが、頭痛発作時に上昇し片頭痛発現に関与している事が知られていました。
このCGRPをブロックしたり、受容体をブロックする製剤が開発され、臨床効果が特に優れており、徐々に使用される患者さんが増えています。当院でも既に10名以上の患者さんがご使用されています。
最近のデータですが、月に半分(15日)以上頭痛の為にトリプタン製剤を服用されていた患者さんの薬が半減したり、中には全く必要がなくなった患者さんまでおられます。
この様に臨床的にも極めて優れた製剤にも、問題点が2点あります。
第一に、片頭痛患者さん全員に使用することが保険上の観点から困難です。予防薬や治療薬を使用しても、月に4日以上の頭痛がある方に限り使用可能です。第二に薬品代が生物製剤の為、高価であることです。一般的に、トリプタン製剤であれば、先発品で月に15錠服用した場合3000円、後発品(ジェネリック)であれば、1000円に対して、CGRP製剤は、12000円程度になります。
この様な、一見ハードルが高い薬剤ですが、本当に毎日の様に片頭痛に苦しんでおられる患者さんには、コストパーフォーマンスに優れ、その薬効ゆえに、ぜひ一度試す価値のある薬剤と考えております。


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