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疾患と適切な治療期間について


診療機関(病院等)へ受診して、診断名が決まり治療が開始になります。急性疾患では、手術が必要か飲み薬で治るか判断されます。しかし、下記の様な慢性疾患になるといつまで通院すれば治るか気になるところです。
かつて昭和から平成になる時期、慢性疾患に対して患者さんに説明なしに、まんぜんと治療が継続されていた診療科や疾患もあった事は事実です。その多くの場合患者さん自身が一応症状が改善し、更に治療を継続する事に嫌気がさして中断する事が殆どでした。当時は病気の本態や、治療に対する科学的な根拠(証拠に基づいた治療)が不確かなものが多かったのも事実です。
しかし最近は、科学的根拠に基づきはっきりとした治療方針で治療にあたる事が出来る様になりました。以下当院でどの様に病気を考え、治療方針を立てているかを説明します。
①無症候性脳梗塞(症状のないもの):梗塞巣の大きさや脳の主要な血管の細さ、生活習慣病の有無や家族歴により色々なバリエーションが考えれます。基本的には梗塞巣の長径が10mm以下で主要血管が正常な場合は、MRIを定期的に撮影すれば治療の必要はありません。梗塞巣が10mm以上の場合、加えて脳の主要血管が細ければ、なおのこと、将来手足の麻痺、言語障害や認知症になる可能性がありますので、生涯にわたり予防薬の治療が必要です。予防薬を飲んでいれば1/5~1/10程度危険性が少なくなります。
②動脈瘤破裂によるくも膜下出血術後(開頭術や血管内手術術後):基本的には治療の必要ありません。くも膜下出血は、最初の手術が後遺症を左右します。術後は危険因子の高血圧症の治療と禁煙が必要です。動脈瘤の再発(0.3%以下)の確認と脳梗塞等ほかの脳卒中の罹患率が一般の方より高い為、年に一度の頭部MRIの検査が必要です。
③脳内出血後遺症:出血の原因のほとんどが高血圧症です。血圧の管理が一番大切です。この為、生涯にわたり高血圧症の治療が必要です。ただ前のコラムでも書きましたが、高血圧症は場合により食事や運動療法、減量で改善でき、薬を飲む必要がなくなります。
④癲癇:癲癇の治療は、抗痙攣剤を飲みながら発作が消失し脳波が正常化し、3年間経過後に抗痙攣剤を1年間かけて減量~休薬し、脳波が正常化していれば薬を中止する事が出来ます。


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