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妊娠と薬について


妊娠中の内服薬については、古くはサリドマイド事件(1950年代後半に発売された妊婦用の睡眠剤)に代表される様に、危険な副作用を引き起こす可能性がある為、全ての内服薬に関して服用せずに出産を迎える方が良いと考えられています。しかし、一部例外として妊娠中に内服薬服用の方が、服用しないより利益が上回る場合に限り服用が許されるようです。
①頭痛薬
妊娠中の頭痛には、妊娠初期の妊娠嘔吐(つわり)に伴う頭痛、片頭痛、筋収縮性頭痛(肩こりから)の3種類が主なものです。片頭痛は妊娠中にホルモンバランスが一定となる為、片頭痛が起こらないかあっても軽度のものになります。つわりの頭痛の対処法は、安静を保ち前額部を冷やして下さい。また筋収縮性頭痛は肩や首のマッサージや運動をして軽快につとめて下さい。上記3週類の頭痛がどうしても我慢できない場合には、内服薬の服用になります。今までの経験や、動物実験から安全性が確立している薬は、アセトアミノフェン(カロナール)になります。しかし、アセトアミノフェンの消炎鎮痛作用は弱いので、効果が充分期待できない場合があります。その場合には、アスピリンの併用が可能です。但し、アスピリンは抗血小板板作用(出血しやすい)がある為、妊娠7ヶ月までの間は服用可能ですが、それを過ぎると禁忌となります。また、その他の多くの消炎鎮痛剤は胎児動脈管の収縮や羊水の減少等の副作用から禁忌となります。
②抗痙攣剤
てんかんの患者さんで、医学的にみて妊娠の許可をされる方は、痙攣発作が過去3~5年間なく、また抗痙攣剤(比較的安全な)を飲むことによるリスクを充分に理解された方となります。つまり、一般的な出産の奇形率の発症は2~3%となり、安全な抗痙攣剤を服用しても奇形率の頻度は2~3倍に上がります。つまり4~9%の奇形率になります。その頻度を充分に理解された方が抗痙攣剤を飲みながらの出産となります。また、多くの抗痙攣剤の中で、妊娠中に禁忌とされているものはミノアレビアチン、原則禁忌がデパケン、セレニカになります。
③風邪薬
漢方薬は大丈夫の様です。また抗生物質はペニシリン系、セファロスポリン系のものは大丈夫です。
④胃腸薬
胃薬は防御因子増強薬(マーズレン、ムコスタ、セルベックス)は問題ありません。H2ブロッカー(ガスター等)やPPI(タケプロン等)は日本では、妊婦に対して安全性が確立されていません。
⑤市販薬
市販の風邪薬や痛み止めは原則問題ありません、最少量をなるべく短期間服用する様にして下さい。またアスピリンの配合剤は避けて下さい。

以上の事に充分注意され、元気のよいかわいい赤ちゃんが出来る事を応援しています。


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